こんにちは、めがねです。
先日、7月に実施されたCFAレベル1の合格率が発表されました。22%と、CFAの試験制度が確立されて以来最も低い合格率でした。
1963-2021 CANDIDATE EXAMINATION RESULTS
CFA協会のDirectorによると、試験の難易度およびMPS(Minumum Passing Score)の算出方法は以前と変わりなく、どちらかと言うとコロナの影響で試験勉強に支障が出た可能性があるという事でした。
CFA Institute Reports Results for Testing in July
MPSのGuidelineはこちら
MPSの算出方法はこちら
おうちで過ごす時間が増えたとはいえ、勉強時間を余分に確保できるようになったわけではなさそうです。
さて、先月9月3日にCFAレベル2を受験してきました。 会場はフランクフルトのNew Horizonというテストセンターでした。
会場の目の前には、BINDINGのビール醸造所があります。
快晴に恵まれてとても気持ちの良い日でしたが、残念ながら試験の出来は満足できるものではありませんでした。5割5分程度正答できたでしょうか。
7割正答できれば合格ラインと言われている中で、5割5分ではとても厳しい状況ですね。
結果は、10月後半にメールで通知される予定です。
それで、今回の記事では、そもそも何が理由で5割5分しか正答できなかったの、という点から始め、レベル2の受験に向けてどういう準備をしてきたのか、試験前日・当日の流れはどんな感じだったのか振り返ってみようと思います。
CFAレベル2に合格した訳ではないので、受験に向けた準備の一例として、この記事を参考にしていただければと思います。
先ずはじめに、5割5分(肌感覚ですが)しか正答できなかった理由は何なの、ということですが、結論から書くと、Schweserのテキストを読む事に時間を使いすぎ、問題演習、Mock試験を解く事に費やす時間が不十分でした。
今回は、試験日の10ヶ月前から勉強を開始したので、気持ちに余裕がありました。それで、丁寧に進めようという気持ちが先行しSchweserのテキスト(Ethics除きで約1,200ページ)を結果的に2周勉強しました。これが良くなかったですね。
テキストのレビューは1周で終え、問題演習、さらにはMock試験(レビュー含む)に使う時間を十分に確保すべきだったと思います。
結果的には、同じ時間学習する事になったとしても、得られる効果は断然違ったでしょう。
演習問題の重要性は、レベル1の記事でも書きました。
レベル1においては、Qbank(Schweserが提供する演習問題ツール)のみで合格した猛者もいます。
それぐらい演習問題を解くという事が力になるという事は誰の目にも明白です。次回に活かしたいと思います。
では、今回CFAレベル2に向けてどういう準備をしてきたのか、一つ一つ振り返ってみます。
先ずは、教材のメインであるテキストについて、今回もレベル1の時と同様に、Schweserのマテリアルを使用しました。
Schweserを選んだ理由は、CFA協会の公式テキストと比較をすると分量が半分ぐらいである、という理由です。
今回レベル2に向けて勉強してきた経験を通して、改めてSchweserのテキストが僕には合っていると感じました。
公式テキストの半分の分量とはいえ、5冊合わせれば1,450ページぐらいの分量です。試験で問われる内容は、きちんと網羅されております。
どうしてもSchweserのテキストでは理解できないポイントについてのみ、公式テキストを開いて勉強しました。
テキスト以外にも、QbankやMock試験を使用していますが、それらは後ほど説明します。
レベル1の時と同様に、「Text Instruments BA II Plus」を使用しました。
ボタンが固くて、しっかり押さないと打ち損じがある(ゼロが1つ少ない等)という問題はあるんですが、それ以外は問題なく使えます。
「Text Instrument」を使う事自体が数年ぶりでしたので、感覚を取り戻すのに少し時間がかかりましたが、以下の動画で大方思い出す事ができました。
TI BAII Plus Calculator Basics for the CFA® Exam
2020年の8月末に試験に申し込みましたが、勉強を開始したのは11月でした。
それで、2021年9月3日が試験日でしたので、約10ヶ月前から勉強を開始した事になります。
途中、1ヶ月間勉強から離れたり、数週間の夏休みを予めプランしておいたので、10ヶ月間常にCFAに集中していたという訳ではありません。
それ自体は、今回のパフォーマンスにはあまり影響なくて、むしろ反省すべき点は、先にも書きましたが、テキストを只々読むことに時間をかけすぎた点だと思います。
総学習時間は、約438時間でした。
勉強するごとに都度時間を測っていた訳ではなくて、以下の通りざっくりとした見積もりです。
ちなみに以前紹介した「Direct path to the CFA Charter」という本の中で、著者はCFAレベル2の受験のためには、最低500時間勉強しなさいと書いております。
それでは、どういうプランで学習を進めたのか振り返りたいと思います。
本番の9月3日(金曜日)に向けて、僕は以下のスケジュールで学習を進めていきました。
(*1) Ethicsを勉強する上で試聴した動画は以下です。こちらは、レベル1の時も使用しました。
CFA Level 1 Standard 1 (Professionalism) Video Lecture by Mr. Arif Irfanullah
学習スケジュールのポイントを1つ1つ説明していきます。
2020年11月から4ヶ月強かけて、以下の順番でSchweser Noteを1周読みました。また、Chapter毎に章末問題を解いております。
僕はこの順番で学習しましたが、Economicsは、Derivativesよりも前に学習しておくと良いと思います。Economicsで学習するForward contractの知識は、Derivativesの重要なインプットになります。
さて、FRAを最初に学習した理由は、僕に財務3表のBackgroundがあったからです。PL, BSに慣れている方には、とっつきやすい単元だと思います。
Quantの内容の一部は、Equityでも使われますし、Portfolio Managementに使われます。よって、これらの単元の順番は逆にならないようにしましょう。
Fixed Incomeは、経験の浅い方(もしくは無い方)にとっては、重たい単元だと思います。僕自身も全く債権の知識はないので、とても難しい単元でした。また、Fixed Incomeは、Derivativesのインプットになるので、この二つの順番もこのままで良いと思います。(FIxed Income -> Derivatives)
残りは、以下の動画を参考にしながら、単元の順番を決めました。
Sequence of Learning for CFA Level 2 for June 2019
レベル1の時と同様に、Ethicsについては、Youtubeの動画を試聴し、要点をノートに纏めました。
動画内でホワイトボードに書かれている程度の内容をまとめたので、全部でノート20ページ程度のものです。
機会をみて、このノートをレビューし、またMockを受ける毎に新しいコンセプト、気に留めておくべきポイントがあれば、このノートに追記する事で、随時アップデートしていきました。
試験後振り返ってみて、Ethicsに関しては、この学習方法で十分であったように思います。
Qbankとは、Schweserが提供しているオンラインの問題演習ツールです。
Schweserを1周読み終わった後に、腕試しにSchweserのMockを1度受けているのですが、そこでの結果がボロボロでした。(結果26/88)
それを踏まえて、以下の要領でQbankに取り組みました。
つまり、Schweserテキストを2周読んだ、というその中身は、以下の通りです。
これらのプロセスに、それぞれ4ヶ月強、合計9ヶ月弱かけてしまったんですよね。
先にも、「テキストのレビューは1周で終え、問題演習、さらにはMock試験(レビュー含む)に使う時間を十分に確保すべきだったと思います。」という事を書きましたが、要は、以下のように、進めるべきだっとと反省しています。
Qbankそれ自体の問題のレベルは本番に近いと思いますが、1つ1つ単発の問題が出題されるため、本番のようにVignette形式ではありません。
Vignette形式の問題を解きたい、という方は、CFA協会ホームページのLearning Ecosystemで準備されている「Practice」がお勧めです。
以下の記事でも書いた通り、僕はレベル1の受験時にはフラッシュカードを使っておらず、今回はじめて学習に取り入れてみました。
【書評】「Direct path to the CFA Charter」
*Amazonリンクになっております。
フラッシュカードを作ったは良いものの、カードをレビューする事を中々習慣化できずに、結果、作成したフラッシュカードを全レビューできたのは、以下3回のみでした。
Schweser Mock 3回目の前日、本番前日にフラッシュカードをレビューした事が、翌日のパフォーマンスに良い形で影響を与えた事は間違いありません。
フラッシュカードは強力なツールで、Mockの前日、本番前日に時間を取ってレビューし、フラッシュカードに書かれている内容で分からない内容があればテキストをレビューする、という形で使う事ができれば、とても効果的だと思います。
僕の場合は、もう少し、MockとMockの間隔を開けて、フラッシュカードをレビューするための纏った時間を取っても良かったと思います。
今回の試験準備では、SchweserのMockを4回、そしてCFA協会のMockを1回、計5回のMockを受けました。
SchweserのMockについて、難易度は本番と特に変わらないと思いますので、Mockを受ける価値はあると思います。
はじめの3回ぐらいは、時間を気にせず、きちんと最後まで解く事に集中すると良いと思います。また、時間が許す限り、レビューには十分に時間をかけるべきですね。レビューをする際には、関連するChapterを全てレビューすると良いと思います。なので、時間のある方はレビューに3日程度かけても良いと思います。
今回の試験準備では、8月後半に立て続けに3つのMockを受けたにも関わらず、それぞれのMockのレビューに十分な時間を確保できなかったことも、点数があがらなかった要因の一つです。
Mockを含め、Schweserのオンラインマテリアルは、期日が来るとアクセスできない仕組みとなっております。ですので、Mockの問題と回答は必ずpdfで保存しておき、アクセス期日を超えてもレビューできるようにしておきましょう。
ちなみに、以下の書籍では、レベル2を受験するnon-native speakerは、7回Mockを受ける事をお勧めする、と書かれております。
CFA協会公式のMockで出題されるトピックは、本番で形を変えて出題される事が多々ありますので、本番の5日前〜7日前あたりには受けておくと良いと思います。そして、2, 3日かけてきちんとレビューしましょう。
今回は、本番2日前の9月1日にMockを受けました。MockはCFA協会公式ホームページの「Learning Ecosystem」内で受験可能です。
それで、翌日の9月2日(試験前日)にレビューをしていたのですが、「Learning Ecosystem」のページから突如Mockが消えました。
Mockがどこへ行ったのか探してみると、結果、「Learning Ecosystem」内の「Practice」に、Mockで出題されていた問題が、ところどころVignette毎に掲載されている事を見つけ、Mockの幾つかの問題については何とかレビューする事ができました。
試験前日にCFA協会の公式ページから「Mock」が消えるというのは、大変に困ります。そういう仕様なのかどうかは分かりませんが、Mockを受けたのにレビューを終えれない、という状況になるのは非常にまずいので、CFA協会のMockは時間に余裕を持って受け、レビューしておきましょう。
試験内容に関する準備は以上です。
試験勉強以外にも、幾つか準備しておくべき事がありますね。
以下の項目について、試験日1ヶ月前にはレビューしておきましょう。
それぞれ、説明します。
試験の1ヶ月前あたりには、Computer Based Examに向けて以下のリストを確認しておくと良いと思います。
CFA PROGRAM CANDIDATE CHECKLIST COMPUTER-BASED EXAMS
当日の服装、当日のランチをどうするのか以外の項目は、試験前1ヶ月の時点で大方準備できますね。
CFA協会が重要なPolicies、そしてProceduresを明記しております。これらは全て目を通しておきましょう。
試験日当日がどういうスケジュールで進むのか、必ず確認しておきましょう。
上のリンクはCandidateページに飛びますので、ログインが必要です。
要点を抜粋しますと、以下のスケジュールで当日は進みます。
Schedule | time allocated on the screen | |
---|---|---|
Candidate Pledge, Introduction, & Exam Software Tutorial | 19 mins | |
Morning session | 135 mins | |
Break | 31 mins | |
Intro for Afternoon session | 1 min | |
Afternoon session | 135 mins | |
Survey | 9 mins |
(出所:Typical Exam Day Schedule)
僕も含め、Computer Based Testingを受ける事が始めてという方は沢山いらっしゃると思います。
それで、どういう画面で試験を受ける事になるのか気になりますよね。受験生が事前にComputer Based Testingに慣れておいた方が良い、という事で、Prometric(CBTの実施を請け負っている3rd partyですね)がオンラインでシミュレーションを提供しています。
上のリンクにアクセスして、はじめの画面で入力するKeycodeは何でも良いです。是非、本番当日までに2度、3度、練習してみると良いと思います。
CBTが開催されるテストセンターの場所は、事前に必ず確認しておきましょう。
併せて同テストセンターが、コロナ禍でもオープンしているのか、確認しておきましょう。
Sites requiring proof of vaccination
Prometric test center closures
また、Prometricがコロナ禍特有のルールを設けておりますのでこちらも要チェックです。
テストセンターによっては、以下のリンクにある通り、他のテストセンターとは異なるルールを設けている事もありますので、必ずテストセンター毎の最新の情報を確認しておきましょう。
COVID19 Additional Requirements
それでは、試験前日の過ごし方、当日の過ごし方について振り返りたいと思います。
試験前日は、最後の最後まで知識を詰め込むというよりも、翌日に最大限のパフォーマンスが発揮できるように、体調を整える事に気をつけると良いと思います。
起床時間や朝食・昼食を取る時間を、試験当日と同じ時間にし、体内時計を当日仕様に持っていくと良いと思います。
僕は朝食、昼食で食べるもの、試験前に食べて脳を活性化させるもの(KitKat、バナナ)など、当日食べるであろうものと同じものを前日に食べ、体調を整えました。
テストセンターが自宅から遠いのであれば、現地に前日入りし、当日朝は気持ちに余裕を持って試験に臨めると良いですね。
今回の試験では、フランクフルトのテストセンター近くに前泊しました。郊外でしたのでとても静かで、ゆっくりと休息を取る事ができました。また、それなりの量の朝食がついていたので、昼食用のサンドウィッチもここで調達することができました。
改めて、最新のテストセンターの状況を確認しておきましょう。
Sites requiring proof of vaccination
Prometric test center closures
試験前日にもレビューをする事になると思いますが、重箱の隅をつつくような事はしなくても良いと思います。
既に90%の範囲をカバーしているのでれば、試験前日に残りの10%の範囲をレビューする必要はありません。
それよりも、各単元毎にメインとなるトピックを改めてレビューしておきましょう。
さて、試験当日の様子です。
朝6時40分に起床、7時に朝食でした。7時20分頃部屋に戻り最後のレビュー、8時にチェックアウトし、テストセンターへ向かいました。
試験開始9時に対して、8時25分頃テストセンターへ入りました。
試験開始30分前には、必ず会場入りしておく必要があります。
テストセンターへ到着後、以下の流れで事が進みます。
試験部屋へ入ると、試験官に所定のデスクへ案内され、そのままコンピューターの画面の指示に従って進めてください、と誘導されます。
これで、画面上でインストラクションがはじまり、そのままテストが始まる訳です。
受験生がテストセンターへ到着した順に上の流れで試験部屋へ入っていくので、試験開始時刻は、もともと予定していた時刻からずれる事が多々あります。
僕の場合は、9時試験開始の予定でしたが、実際には8時50分頃試験を開始しました。
試験部屋へ入り、所定のデスクへ案内されて、先ず目にするのはモニターの数ですよね。
会場により異なりますが、必ずしもモニターが2つ準備されている、というわけではありません。
フランクフルトではモニターは1つでした。
そのかわり、大きめのモニターで、試験中は、左側にVignette用のウィンドウ、右側に問題が表示されるウィンドウ、という配置で表示されました。文字が小さくなる、という事はないので、この点心配しなくても良いと思います。
試験官に所定の位置へ誘導され、画面上でインストラクションが始まったら、すぐに指示に従って進めていってください。ちょっと深呼吸してから、と、ゆっくりしすぎると、画面が落ちてしまい、試験官がオペレーションルームからセッションを再起動する必要がある、という事になります。
試験問題ですが、試験範囲の中からランダムに出題されます。
これは、CFA協会の公式ページにも明記されている事なので、特別ビックリするような事ではないですね。
CFA® Level II Questions & Exam Format
ただ、SchweserのMock試験、CFA協会のMock試験などでは、テキストの順番通りに問題が出題される事がありますので、本番では試験問題はランダムに出題される、という事を念頭においておきましょう。
午前の部が終われば、チェックイン時と同様に、サインと時刻を所定の紙に記入し、一度チェックアウトします。
そして、準備していたお昼ご飯を食べ、余った時間はレビューに費やしましょう。
それで、会場に戻り、荷物検査・身体検査を済ませ、名前とサインを記入し、再度チェックイン後、午前の部と同じデスクに誘導されれば、画面上で午後の部がはじまります。
午後の部が終わると、そのままコンピューター上で簡単なアンケートを受けます。
それに答え、チェックアウトすれば、全日程が終わりですね。
諸々準備してきた方にとっては、とても清々しい瞬間だと思います。
僕が試験を受けた9月3日は、フランクフルトの天気はとても良く、会場を出た14時半頃は、雲ひとつない青空でした。
試験の具体的な内容を書く事はできないのでざっくりとした感想ですが、CFA協会のMock試験の重要性、そして各単元のコアとなる部分の理解がいかに重要かを思い知らされた試験だったと思います。
これをすれば絶対に受かる、というtipsがあるわけではないのですが、今回の勉強を通じて気づいた事を諸々書いていきます。
レベル1の記事を書いた時には、ポモドロテクニックはとても有効ですよ、と書いたのですが、これは一長一短ですね。
どうしても勉強が手につかない場合に、先ずは25分間勉強してみる、という時にはとても有効だと思います。
ただ、すでに勉強する事が習慣づいており、集中力が高い方には、25分間は短かすぎますよね。
集中して勉強しているにも関わらず、25分でアラームが鳴ってしまうと、集中力を削がれる事になります。
波に乗っている方は、アラームをかける事なく、集中力が続いている限り勉強すると良いでしょう。
レベル1の時と同様に、以下の2つのサイトには何度もお世話になりました。
先にも書きましたが、CFA協会のMock試験は、本番の1週間前を目安に受けましょう。試験前日に、MockのページがCFA公式のホームページから消える、という事がありますので、前々日までには必ずレビューを終えておきましょう。
以上で振り返りは終わりです。
今回の受験を通して、演習問題を解く事の重要性、時間に余裕を持ってMock試験を受け、レビューする事がいかに重要か、という事を再認識しました。
来週には、メールで結果が通知される予定ですので、分かり次第シェアしたいと思います。
CFAに興味のある方には、以下の記事も参考になると思います。